

カーボンニュートラルへの取り組み、それは未来への責任
私たちは、太陽光発電や地中熱ヒートポンプなどの再生可能エネルギーを積極的に活用し、LED照明の導入によってエネルギー効率を向上させています。
これらの取り組みにより、カーボンニュートラルの実現を目指し、持続可能なワインづくりを勧めています。直轄農場「鶴沼ワイナリー」ではCO2の排出量測定にも取り組んでおり、いずれ広大な敷地の森林管理ができれば、カーボンマイナスも達成できるかもしれません。
Embracing Future Challenges
「このままじゃ北海道の農業は衰退してやがて滅びる」。
北海道ワインの創業者は増える耕作放棄地を看過できず、ワイン用のぶどう栽培を始めました。
そして昨今は人口減少による人手不足や加速する気候変動などによって「このままじゃ北海道のワイン産業を次世代につなげない」という強い危機感を抱いています。そこで虫の目で足元を見つめ、鳥の目で遠い未来を眺めて、自分たちで良いと思うことを考えて行動に移しています。目の前に立ちはだかるのは壁じゃない。押すと開く扉なんだ。そう信じて。
私たちは、太陽光発電や地中熱ヒートポンプなどの再生可能エネルギーを積極的に活用し、LED照明の導入によってエネルギー効率を向上させています。
これらの取り組みにより、カーボンニュートラルの実現を目指し、持続可能なワインづくりを勧めています。直轄農場「鶴沼ワイナリー」ではCO2の排出量測定にも取り組んでおり、いずれ広大な敷地の森林管理ができれば、カーボンマイナスも達成できるかもしれません。
北海道の農業は高齢化と後継者不足が深刻です。その解決策のひとつがスマート農業。当社も北海道大学を中心としたコンソーシアムに参画し、無人の草刈り機や防除の機械、収穫のロボットアームなどの開発に携わっています。自動防除システムは、適所に必要な農薬を正確にまくため農薬の使用量を削減でき、いずれ動力に自然エネルギーを利用することによって、さらなるCO2削減も見込めます。また機械は24 時間稼働できることから「適時適作業」が可能となり、より品質の高いぶどうを育てることができます。
農薬使用量削減のため、PIWI(ピーヴィー)品種の栽培・商品化にも取り組んでいます。この品種は耐病性を備えた交配品種でしかも高品質。農薬を減らすことはカーボン・フットプリントの削減にもつながります。
また、直轄農場のひとつ「北海道ワイン後志ヴィンヤード」では、化学農薬と化学肥料を使用せずに有機栽培でぶどう作りに挑戦しています。いずれは、この研究成果を他の直轄農場や契約農家さんともシェアする計画で、未来の担い手たちにつないでいきます。
以前から私たちはワインの製造残渣(ざんさ:ぶどうの搾りかすやワインのオリ)の利用研究を行い、ワインビネガーとして商品化したり自社の畑で堆肥として利用してきました。そしていよいよ廃棄物を一切出さずに資源を循環させる「ゼロエミッション」に向けて始動。残渣を乾燥させて皮と種に分け、常温で保存できる技術を開発(特許申請中)。微粉末化して機能性素材や食品素材として、これを用いた事業を展開していきます。
地球温暖化の影響からなのか、北海道は以前よりも高品質で多種多様なぶどう品種が栽培できるようになり、道内のワイナリーの数が短期間で急速に増えました。今後、北海道がワイン産地として世界に発信していく中で、地域全体のワインの品質とブランド力を高めるために、ぶどう栽培や醸造技術からマーケティングにいたるまで経営力のレベルアップにつながる研修会を毎年開催しています。当社もこの「知」の伝承事業にスタート時から携わっています。
ワインの価値はぶどうの産地を適切に細分化することで高まります。とはいえ北海道ワインは日本ワインの製造量が日本で一番多いことから収穫時には大量のぶどうが納入されます。つまり受入れ段階でぶどうを仕分けしなければ後の工程では困難で、ヒューマンエラーの恐れもあります。そこで搬入時の計量システムをデジタル化することで、ぶどうの産地や品種、重量、生産者をリアルタイムで管理できるようになりました。今後の課題は、細分化した産地と品種の関係性を客観的な数値データとして蓄積し、次世代に継承することです。ワイン産業を発展させるために、考えて行動する。
ワインツーリズムとは、ワインをテーマに地域に滞在しながら、ゆっくりと上質な時間を過ごす旅。リニューアルした私たちのワイナリーを拠点に、交通や宿泊、飲食など地域と連携しながらこの旅を推進させていこうと計画しています。さらに道内のワイナリーとともに、それぞれ得意なことを活かして、世界的に優良なワイン産地”Hokkaido”を目指します。そもそも私たちが北海道でワイン産業を始めたのは地域振興のためです。ワインツーリズムはこの地に賑わいをもたらすはずです。
私たちは、ワインを通じて深まった絆を大切にし、今後も新たな形で地域貢献を続けていきます。ワインによって人々が集い、笑顔を交わす場を作り上げることが、私たちの使命。地域の皆さまと共に、期待と希望を胸に新たな提案をお届けしてまいります。
夜の小樽を活性化するために、居酒屋やバー、イタリアン、鮨店などと協力しあって、おたるワインの新しい飲み方をご提案し、メニューに加えてもらいました。その名も「おたる生ワインボール」。風味が良い当社の生ワインをベースにしたカクテルで、食事との相性もよく喉ごしが爽やかなことから、小樽のご当地カクテルとして10年以上に渡って飲み継がれています。
さらに、当社創立50周年を迎えた2024年には、自社醸造のワインビネガーを使った2つのノンアルコールカクテルが誕生しました。
アルコールの有無にかかわらず、北海道のワインに気軽に触れることができる、そんな一杯です。
昭和の時代は、いちばん働く人がリーダーで、平成の時代はいちばん稼ぐ人がリーダーでした。しかし未来に向けて課題山積のこの時代、いちばん考えて行動する人が求められるはずです。自社の発展よりも、まずは北海道を世界に通用するワイン産地にするのが私たちの目標ですが、そのためにはぶどう作りとワイン造りの新しい試みの成果を後世に申し送りすることが私たち世代の使命だと考えています。そのために、二、三歩先はおこがましいですが、せめて半歩でも先を急ぎます。